労務課のお仕事① 給与計算

労務課の業務

 司法試験受験生には、法務以外にも労務も是非就職先の部署の選択肢に入れて欲しいです。

 

 労務課は、どこの会社にもありますし、会社に貢献する重要な部署だからですが、会社に勤めていないと、認知度が低い部署でもあります。

 

 なので、ここでは、労務課の業務を2つの特徴から解説します。

 

労務課の特徴

 

1 他社でも通用する業務

 

2 社内ネットワークの構築

 

 

 先ほども述べたように、労務課というのは、地味に会社で重要かつ強い部署です。

 

 それは、会社を運営する上で、重要な人件費を正確に把握する部署であることも理由の1つです。

 

 本当に地味ですが、重要な部署なので、労務課に就職できて経験を積めれば、どの会社の労務課でも仕事ができます。

 

 労務課というのは、業務の性質上、繊細な情報を扱う機会も多く、従業員と関わる機会がとても多いです。

 

 そのため、社内ネットワークを構築するのが、非常に楽です。

 

 この社内ネットワークの構築というのは、これまた地味に重要なものになります。

 

 では、労務課の代表的な業務を2つの観点からお伝えいたします。

(注意)

 あくまで私が経験したベンチャーから上場会社になった会社の経験をもとに話しています。

 

給与計算 他社でも通用する点

 

 

 皆さんは、会社で給与の計算をやっている部署がどこかご存知でしたか?

 

 実は、労務課が行っていることが多いです。(会社規模や種類によっては、経理や総務が行なっている場合もあります)

 

 なので、従業員から給与についての質問は必ず労務課に届きます。

 

給与関係でよくある質問

 

・給与金額が、少ないがどうしてだ?

・賞与金額が、この金額なのはどうしてだ?

 

 

 当然ですが、お給与の金額についての質問が一番多いです。

 

 前者の中には、さらにいろいろありまして、

 

 交通費が入っていない

 

 なぜ欠勤扱いされているのか

 

 残業代の計算がおかしいのではないか

 

 などなど、様々な質問が飛んできます。

 

 このような問題を処理しているのは、実は労務課で、上記の質問に答えるためには、当然会社の就業規則や労働法を知っていないといけません。

 

 例えば、短時間正社員という就業時間が6時間の社員の残業計算は皆さんはご存知ですか?

 

 これは、労働法に書いてあるのですが、こういう質問にも法律に沿ってちゃんと答えないと、質問された方は納得しません。

 

 他には、店長から6時間勤務の社員に1時間の休憩を与えてもいいのか?という質問も、店長経験が浅い方からはよく質問されます。

 

 これも労働法に書いてあります。

 

 ちなみに、最初の質問の後者の質問は、労務課の管轄ではなく、人事課や評価をした上司に対する質問になりますので、そっとスルーパスをします。

 

 このように、給与計算というのは、労働法に基づいて、就業規則で具体化されて業務を行います。

 

 これは、どこの会社でも同じです。

 

 そのため、労務での給与計算の経験というのは、転職しても役に立ちます。

 

社内ネットワークについて

  

 

 そして、給与計算というのは、お金が関わるので、個人にとって重要な問題になります。

  

 考えてみると分かるのですが、自分の生活費がかかっているのですから、疑問や確認は、皆さん真剣になります。

 

 なので、質問者の疑問を丁寧に回答すると、質問者の方から感謝されます。

 

 そうすると、社内ネットワークが構築され始めます。

 

 特に、店長やマネージャークラスの質問に回答すると、社内ネットワークは一気に構築しやすくなります。

 

 最初のことは質問をされても、すぐに答えることが出来ないと思いますが、すぐに答える必要もありません。

 

 なぜなら、従業員のお金がかかわることなので、覚えていたとしても必ず根拠条文や通達を確認してから、回答をするべきだからです。

ではなぜ社内ネットワークを構築する必要があるのか。

 

 

 それは情報の先取りです。

 

 労務というのは、最後の砦になります。

 

 労務が、給与や異動や退職をデータで決定すると、その決定は、会社の決定になります。

 

 なので、間違いが起こってしまわないように、様々な情報を仕入れて、間違いが起こっていないかを確認する必要があります。

 

 その情報収集ルートとして、社内ネットワークの構築があります。

 

 たとえば、店長から誰かが異動や退職するかもしれないという話を聞いたとします。

 

 そうすると、労務は、事前に人事データの書き換えをする準備ができます。

 

 退職の場合でも、退職に際して、必要な書類や確認する事項の洗い出しができます。

 

 さらにいうと、退職や異動の話が出たときに、その店舗にいないと法令上営業できない人員ということも気付くことができます。

 

 店長や店舗管理者というのは、店舗全体の目を持っていても、エリアや会社全体のことについては気づきにくいです。

 

 もちろん、エリアマネージャーや統括マネージャーという、エリアを束ねる社員がいるのですが、万が一気付かない場合もありますので、その時のために労務側でも把握しておくことは、重要です。

 

 このように情報を先に仕入れることによって、問題の洗い出しや情報の精度を高めることができると、ミスがない業務執行ができます。

 

 ミスがないと、部署の信頼が向上し、様々な相談や質問が来て、回答することで、さらに社内ネットワークが構築され…正のスパイラルにはまると、仕事がとても楽しくなります。

 

 実際、わたしは、労務知識0で労務に配属されて、質問や相談にのって、回答する事で、社内ネットワークを全店舗約100店に広げることができて、ゴシップから人事情報まで様々な情報が集まりました。

 

 その実績があって、加えて会社の制度や法令を知っていた為に、課長まで昇格できました。

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