司法試験を受験した後に、就職活動すると、法務募集で応募していませんか?
実は、法務は、法律の知識をそのまま活かせる部署ではありません。
司法試験を経験して、法律の知識はあるから、法務なら就職して即戦力になれると考えていると、意外とそうでもない…と思うかもしれません。
そこで、3年で、管理部を渡り歩き、一応管理職にまでなった私が、様々な部署での経験の中で、今回は法務のお仕事を簡単にお伝えいたします。
法務は、思ったほど法律知識は使わない!
意外に感じるかもしれませんが、法務で法律知識を活用する場面というのは少ないです。
法務は、会社によって、業務に多少誤差はありますが、下のような感じです。(あくまで私が経験してきたものに限ります)
契約書のドラフトやリーガルチェックは、スタートアップベンチャー企業でない限り、企業ごとに契約書の雛形あり、雛形と当該契約書を見比べて、自社に不利な条項がないかのチェックがメインになります。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、リーガルチェックでは法律知識は基本的に必要ございません。
契約書と雛形を見比べて、自社に不利な条項を探す業務なので、各条項が自社に不利かどうかの判断ができればいいので、知識というよりは論理的思考力が必要とされます。
契約書のドラフト作成の場合にも、雛形があるので、それをもとに案件ごとの事情を盛り込むことになります。
そして、全く初めての契約形態の場合には、顧問弁護士に作成を依頼することになることも多いです。
訴訟対応は、小さいものだと会社が対応しますが、大きい案件だと弁護士に投げてしまうので、大きい案件は、進捗管理が主な仕事になります。
小さい案件とは、少額訴訟の場合が大半です。
法律相談は、条文に載っていることや文献や判例を調べても細かすぎて記載されていないようなことを質問されて、担当行政機関への確認作業がメインになります。
法務は、弁護士ではないので、必ず裏付けの根拠を必要とします。
そのため、法務独自で判断することは少ないです。責任取れませんし…
なので、法務といっても、法律知識をバンバン使うということはありません。
もちろん、ないよりあったほうがいいのは事実です。
管轄の問題や時効の問題、会社法の手続き系など民事系の知識は役に立ちます。
ただ、それより大事なのは、価値判断をする際に、論理的な根拠や思考を持てるかどうかが大事になります。
ここは、皆さん経験されている、論文の答案構成を会社の業務で活用するイメージを持っていただけると間違い無いです。
法務以外には、コンプライアンス部門もあるよ?
コンプライアンス部門というのは、ご存知の通り、法令遵守!
平たく言えば、法令はもちろん会社の独自のルールを社員に守らせる部署になります。
就職を考えている方は、法務以外にも法務系だとコンプライアンス部というのを見つけることができると思います。
では、両者の違いは何でしょうか?
法務は、基本的に既に発生してしまっている事象への対応をします。
他方、コンプライアンスは、将来敵に発生するかもしれない事象を防ぐために対応する部署になります。
私は、法務とコンプライアンス部の両方を合わせて、1年ほど経験してきました。
両方を比較して、自分から能動的に業務をする部署は、コンプライアンス部の印象があります。
法務以外の部署は?
法務以外の部署というと、総務部、経理部、財務部、人事部があります。
ただ人事部の中には、労務課、採用課、研修課、人事課などが含まれていることが多いです。
この中で、どの部署も法令や規程やガイドラインを使うので、法律を学んだことがある人は、ルールを素早く知るという面で、圧倒的に有利です。
普通の社会人は、そこまで法律等を読み込むことはせず、サラッと読んで終わりが多いです。
これが意味するところは、法律を読んだ気になって業務を行うので、法律違反はありませんが、細かいガイドラインを無視することが多いです。
そうなると、バレると最悪お上(国や行政機関)から怒られます。
この怒られるは、お言葉だけの場合もあるし、書面での場合もありますし、皆さんご存知行政指導もあり得ます。最悪営業停止ですね。
特に後ろ2つは、企業に勤めている方々には、OUT事案になります。
OUTになると、誰かが責任を取らされて、異動や退職になることもあります。
というか、私は、異動させられる場面を結構見てきました…
あの場面は、「管理職の人は、責任をとるためにいる」ということを実感させられる場面です。
まぁーそれは置いておいて、会社のどの部署でも法令等を読む機会はあるので、どの部署に行っても、活躍することは可能です!
なので、皆さんには、部署だけで就職先を選ばず、会社の事業内容で選ぶことをお勧めいたします。
コメント